「戦争はダメ!」 御講尊日誠上人のご講演より

とても素晴らしい小冊子をいただきました。これは、去る5月10日に第五支庁四布教区共催で奉修された「終戦70年戦没者慰霊・平和祈念大会」において、御講尊 日誠上人がご講演された内容を記したものです。とてもありがたいお話なので、その一部を転載させていただきます。合掌

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今年平成27年は、日本があの第二次世界大戦に敗れて敗戦国となってから70年目に当たる、ということは新聞やテレビなどでもしばしば取り上げられ話題になっています。

(中略)

70年も経つともう、戦争を体験していない人のほうが、日本の全人口の4分の3を占めるようになったといわれます。その中には当然、日本の国が戦争に敗れたことすら知らない人も、どんな悲惨な戦争がその当時おこなわれていたかということも、国内の主要な都市が爆撃で焼かれてしまったことも、大勢の人たち…日本だけで310万人、世界中では5000万人の人たちが戦争のために命を失ったことも、知らない人が多くなってきたことを意味します。

このことは日本が平和憲法のもと、戦後70年、国土が直接戦争に関わることもなく、平和なときを過ごせてきたという幸せにもつながるのですが、一方では、自分たちの先祖や先輩たちがその当時、どんな辛い思いで過ごしてきたかということも知らずに浮かれている、いわゆる「平和ぼけ」に染まっている人も少なくない筈です。

(中略)

今の若い世代の方々にも、これから生まれてくる方々にも。戦争の悲惨さをその一部だけでも知って伝えていただいて、日本の国が今後絶対に戦争に関わらないこと、よその国にまで行って人を殺さないことを、人の世の絶対平和を説かれた仏さまや、立正安国を願われたお祖師さま日蓮聖人のお弟子信者として、ご宝前にお誓いしていただきたいと念じつつ、述べさせていただきます。

今の内閣になって、しきりに、日本の国も外国へ行って戦争ができるような法律に変えたい、という日本の軍備拡大と海外派兵という動きが大きくなりました。日本の国は日本で守る。日本の同盟国が襲われたときは自衛隊を送って助ける。そのためには憲法9条の解釈を変えよう。日本ももっと陸海空にわたって立派な装備を持たせよう。

後藤健二さんらが「イスラム国」のテロによって拉致殺害されてからは、そういう論がますます盛んにいわれています。現に安倍首相は、自衛隊の海外活動を拡大するための法律を作ったり、改正したりしています。

「周辺事態法」の「周辺」という2字を取り除いて、自衛隊を地球上のどこへでも派遣できるようにする。アメリカをはじめとする、他国軍への後方支援も迅速に対応できるようにする。

首相が言う「積極的平和主義」「切れ目のない安全保障」が何を意味するか、おわかりでしょうか?日本への直接的な攻撃がなくても、「国の存立に関わる重要影響事態」ならば、中東へでもアフリカへでも出かけて行って戦争に参加するということ。そうして日本人が、世界の人々が、犠牲になるということです。

かつて、日本が「自衛のため」と称して中国はじめ東南アジアで2000万人を超す犠牲者を出した、それを再び繰り返そうとしているのです。

永久に戦争はしない、と誓って日本国民が制定した憲法第9条は今、絶対多数を誇る与党・自民党と公明党の意志でどうにでも都合よく解釈されてしまうのです。

戦争を知らない若い人々はそれを当然と思い、カッコイイと声援を送ります。自分たちが死ななければならなくなるかもしれないというのに。

またあの日と同じ思いを、子や孫にかけるような国になるのか。もうたくさんです。

(中略)

考えてみますと、東京大空襲に限らず、広島や長崎の原爆で一瞬のうちに命を落とした人も、日本各地で爆弾に吹き飛ばされ、炎に焼かれて亡くなった方々も、川に落ちて凍死した人も、皆自分が好むと好まざるとにかかわらず、不本意でも、イヤだと言っても殺されてしまった方々ばかりです。

もっと広げていえば、太平洋戦争で亡くなった敵も味方もいわず、戦地も銃後もいわずに数えれば何百万人もの人々が、この戦争で無念の死を遂げておられるのです。

ある人は功成り名遂げてこれからの老後をのんびり楽しもうとしていた人だったかもしれない。ある人は戦地に行った夫との子を背負って、家族が再び楽しい家庭を作る夢を持っていたかもしれぬ。残念だったでしょう。無念だったでしょう。

空襲翌日の、何もない焼け跡に立ったとき、東京湾まで見通せるほど家々がなくなった焼け跡を歩いていたとき、ここからもかしこからも上からも下からも、そうした無念の声がわーんと聞こえたような気がして、立ちすくんでしまったこともありました。

(中略)

今日の話を聞いて下さった方々は、どうか、もう絶対に戦争はイヤだ、ダメだ、いけない!という誓いの心とともに、御題目をお唱えし、戦争殉難者の諸精霊のご回向を一緒にさせていただきましょう。


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